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今回の案内人
Local Guide
Guest
松久保 修平
長崎の近現代美術を中心に、展覧会の企画や作品・作家に関する調査研究を行っています。
長崎県美術館で学芸員をしている松久保です。
長崎港にほど近い長崎県美術館は観光地にもなっている場所でもあります。
出身は鹿児島県で、高校卒業後、大学時代を福岡で過ごしました。長崎県美術館の学芸員に採用され、長崎へとやってきたのが2017年のことです。大学時代は日本の近代美術を専門に勉強していたので、現在勤務している長崎県美術館でも、長崎の近現代美術を中心に、展覧会の企画や作品・作家に関する調査研究を行っています。
長崎には、歴史や独自の文化を感じられる場所が町のいたるところにあります。長崎に来て約6年のナガサキビギナーである私も、日々新しい発見があり、たまたま入った路地に、「○○跡」のような石碑や看板があることもしばしば。観光名所とされている場所はもちろん、町のすみずみまで探検すれば、お気に入りの場所が必ず見つかるのではないかと思います!
いろいろ発見があるお散歩コース「寺町通り」
なんだか京都のような通りの名前ですが、長崎にも「寺町通り(てらまちどおり)」という風情のある通りがあります。
寺町通りにはいろいろなお寺が並んでいて、当然ながらお寺ごとに様々な文化的背景を有しています。山門のつくり、石畳のかたち、本堂の意匠など、お寺ごとのちがいを楽しみながら、長崎の歴史や文化にふれることができます。
はじめて訪れたとき、中心街の近くに、こんな風にコンパクトにお寺が並んでいることにとても驚きました。京都など、探せばほかにあるのかもしれませんが、少なくとも私がそれまで暮らしていた福岡や鹿児島のまちではなかなか見られる光景ではありません。中心街との近さは、こうしたお寺の数々が地域の人々の生活とも結びついてきたことを物語っているのではないかと思います。
様々なお寺が続く石畳の街並みを歩くと、何だかさわやかな気持ちになります。道幅が広くないのも、長崎らしくてグッときます。この道幅はできた当時と変わりがないそうで、さらにグッときます。
そのまま北上して諏訪神社まで行き、長崎の多彩な文化に想いを馳せるのもよし、逆に鍛冶屋町方向に進んで昭和レトロな喫茶「冨士男」でコーヒー片手にゆっくり時間を過ごす、など気分に合わせて様々な展開を作れるので、気に入っています。
長崎は歩いて観光できるまちです。私の場合は散歩の後で喫茶店に行くという流れが定着していますが、まち歩きの楽しさは限りなくあると思います。なんとなく気になる通りやエリアをお散歩してみるのはおすすめです。
長崎らしさを感じる風景。
県外出身者の私にとって、長崎の風景はとても新鮮に感じましたし、今も新鮮です。
ベタ中のベタかもしれませんが、やはり斜面に積み重なるように建ち並んだ家々は長崎らしいと感じます。
斜面に家々がところせましと重なって見える風景は、野口彌太郎や鈴木信太郎ら、戦後しばらくのあいだ、長崎を訪れた多くの画家たちが好んで取り上げたものでもあります。
もうひとつもベタかもしれませんが、毎日多くの船が行き交う長崎港のすがたも「長崎!」という感じがします。港のかたちは変わっても、かつてこの長崎港を舞台に、多くの船が往来し、様々な人、モノを運び、長崎独自の文化を育んでいったという歴史とつながっているように感じます。そういった“ロマン”込みで、長崎らしいと感じてしまいます。
(ついでに言えば、お墓と、お墓の周りで行われるお盆の花火も、ここは長崎なんだと思わせてくれます。)
休みの日も、出勤日のランチもお気に入りはレッドランタンのネギそば!
出勤日のランチはもちろん、家族や友人が長崎に遊びに来たときにも利用させてもらっているのが、出島ワーフの「中国料理 Red Lantern(レッドランタン)」さん。
何を食べても美味しいのですが、一番よく食べているのはお店の看板メニューの「ねぎそば」です。シャキシャキしたネギとチャーシューがたっぷり載っているのに、とてもあっさりしていて最高です。
テラス席もあるので、昼夜問わず、長崎港をながめながらおいしい中華が食べられます。
建築ファンも訪れる長崎県美術館
隈研吾さんがデザインアーキテクトとして携わっていることもあり、建築を携わる方、建築学科の学生、建築ファンのかたがよくお越しになります。
特に印象的なのは、運河に沿った石のルーバーです。花崗岩で作られたルーバーがリズミカルに配置されることで、運河を含む「外」の空間と、花崗岩の外壁を持つ美術館がゆるやかに接続されています。
全国の美術館をめぐっているわけではないのですが、海と緑が近く、運河をまたぐような構造をもつ長崎県美術館は、全国的に見てもかなり特徴的な美術館なのではないかと思います。
建築だけでなく、立地も恵まれている美術館です。美術館の立地は、目指さないと行かないような山の上の方やまち外れにある「わざわざ立地」か、まちの商業圏に隣接する「まちなか立地」の2つに分けられることが多いと思うのですが、長崎県美術館は、その中間。
長崎水辺の森公園がすぐそば、海がすぐそば、海に向けてぬけ感のある気持ちの良い立地。史跡・出島から近いので、少し海辺へ足を伸ばしてみてください。
超映える写真を撮るなら屋上庭園!
その立地の良さを最も感じられるのは、美術館の屋上です。長崎港を一望できる屋上庭園が広がっています。眺めもいいし、気持ちのいい風がいつも吹いています。
ここではものすごく映える写真が撮れるんですよ。空の風景、人物が床に映り込んで神秘的で綺麗な写真が撮影できるスポットがこちらです。
実は、先日まで、この屋上庭園でフジテレビ系列月曜9時のドラマ『君が心をくれたから』の撮影が行われていました。美術館の屋上庭園としての登場ではありませんが、この素敵な立地と風景をドラマの中でも感じられるのではないかと期待しています。
屋上に4つの彫刻。
屋上には、全部で4点の彫刻作品が展示されています。富永直樹の《クスコの少女》《荒海の男》《新風》、北村西望の《花吹雪》があります。《花吹雪》は長崎市中心部にもう一体あるので、見たことのある方もいらっしゃるかもしれません(以前は市民会館前の庭園にあり、現在は少し離れた公園内に移設されています)。
4つの彫刻の中では「新風」がお気に入りです。この屋上はいつも風が吹いていて、その風をシャツで受けているようなシチュエーションがぴったりですね。
ちなみにこの屋上庭園、花火大会の時はかなりおすすめの鑑賞スポットにもなり、多くの方がいらっしゃいます。長崎は観光イベントに合わせて花火が上がることも多いので、タイミングよく花火の夜にお越しの方は美術館屋上での鑑賞を思い出していただければと思います(※開放されている日かどうかは事前にお問い合わせください)
長崎で、ピカソとダリに会えるかも。
長崎県美術館は、長崎ゆかりの美術とスペイン美術をコレクションの柱として、調査研究をもとに様々な展覧会を開催しています。とりわけスペイン美術に関するコレクションは日本でも有数の規模を誇るといってよいのではないかと思います。もちろん、長崎ゆかりの美術、スペイン美術のほかにも、バラエティ豊かな展覧会を開催し、多くの方々にとって親しみやすく、新たな発見の場になることを目指して日々活動を行っています。
常に見られるわけではなく交代で展示がされているものですが、代表的なものをいくつかご紹介します。
パブロ・ピカソ《鳩のある静物》
いわずと知れた、20世紀美術を代表する巨匠・ピカソの作品が長崎県美術館にも所蔵されています。
サルヴァドール・ダリ《海の皮膚を引きあげるヘラクレスがクピドをめざめさせようとするヴィーナスにもう少し待って欲しいと頼む》
こちらもスペインが生んだ20世紀を代表するアーティスト、ダリ。
野口彌太郎 《長崎の山々》
長崎にルーツを持つ洋画家・野口彌太郎は、戦後さかんに長崎を訪れたことで知られています。大浦天主堂など、長崎の町の姿が野口らしい大胆な筆遣いで表された作品です。
お土産で出会える、長崎ゆかりの美術品。
長崎ゆかりの美術をお土産で持ち帰ることができます。版画家・田川憲の作品は梅月堂「南蛮おるごおる」のパッケージになっています。
また、カステラの福砂屋さんの黄色の包装紙は、グラフィックデザイナーの先駆け中山文孝が手がけたもの。
田川も、中山も長崎の美術を語る上で欠かせないアーティスト。その作品がお土産に纏われて、長崎の魅力を伝えていっているのは素敵だなと思います。
華やかな長崎と、歴史の「かげ」。
長崎は様々な文化が混じりあう中で歴史を育んできました。その中には出島を中心とした海外交流のような華やかな明るい時代もある一方で、キリシタン迫害の歴史や原子爆弾の投下など、沈痛な出来事も含まれます。
長崎県美術館では、例えば崩壊した浦上天主堂を描いた絵画や、長崎の人々や町の姿を被写体とした東松照明による写真、あるいは舟越保武が《長崎26殉教者記念像》のために制作したドローイングなどを所蔵しており、作品を通してこうした出来事に思いを馳せていただけるよう、時機を見てできる限り展示するようにしています。
訪れた土地の美術や芸術にふれることは、重層的に編み上げられた「文化」を味わい、滞在をより深い体験にしてくれるパワーがあるのではないかと思っています。長崎での旅に、ぜひ、アートも加えてみてください。
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