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福岡から移住してきて早4年。「旅先での出会いで、景色を変える」をコンセプトに、暮らしや仕事を通して出会った魅力的な長崎人を紹介していきます。
今回は、長崎と言えば!の「ちゃんぽん」の奥深さを世の中に発信し続けているinstagramアカウント「chanpon_eat」南さんと、こちらも長崎と言えば!の「出島」の近くでちゃんぽん店を営まれている「江戸びし」の大将 中村さんと一緒に「ちゃんぽんトーク」してきました!
出演者 & ライター
Featuring & Writer
Editor
坂井桂馬
DMO NAGASAKI
パブリックリレーター・ビジネスプロデューサー
福岡から移住してきて5年目。「ほんのちょっとだけ人生が変わる出会いを、長崎で。」をコンセプトに、暮らしや仕事を通して出会い、人生が豊かになるキッカケを与えてくれた、魅力的な長崎人を紹介していきます。
「長崎のイメージと言えば?」で想起される「長崎ちゃんぽん」をもっと見つめ直す。
「長崎のイメージと言えば?」と聞かれて、皆さんには何が思い浮かぶだろうか?修学旅行で訪れたことがあるかもしれない原爆資料館や平和公園、長崎土産には欠かせないカステラ、まるで西洋に来たかのような洋風建築が立ち並ぶ趣き深い街並み…など多くの情景が浮かんだのではないだろうか。(浮かんでることを信じてます)そんな訪れた方の心を豊かにしてくれる素材がこの長崎には多くあるのだが、その中でも真っ先に「ちゃんぽん」が思い浮かんだ方も多いと思う。
いまや、黄色い看板の大手チェーン店のイメージが先行する「長崎ちゃんぽん」ではあるが、長崎ちゃんぽんの歴史は深い。それは遡ること125年前の1899年。中国福建省から19歳の若さでやってきた陳平順という人物が、当時貧しかった中国人留学生に、安くて、栄養がある料理を食べさせたいという想いで開業した四海樓(しかいろう)から始まった。そこから100年以上経っても変わらない「型」を守り続ける長崎ちゃんぽんではあるが、時代が変わる中で、「長崎ちゃんぽん」というものが変わらないことが、実は県外のお客さまにとって凝り固まったイメージに繋がっているのではないかという声も聞こえてくる。しかしながら、そんな声を打破し、「変わらない=悪」という表面上のイメージを変えていこうと、長崎ちゃんぽんの奥深さを目まぐるしく変化し続ける世の中で埋もれないように発信を続ける方が今の長崎にいる。それが、「chanpon_eat」だ。
私が最初にchanpon_eatと出会ったのは、2022年の秋。長崎と武雄温泉を結ぶ西九州新幹線が開業したことで、どんな人達が、長崎のどんな景色を投稿しているかな、とインスタグラムを眺めていた時だった。「長崎ちゃんぽんを紹介しまくってるすごいアカウントがある…!」
当時は、「長崎ちゃんぽんぼん」を発刊したタイミングであったので、私のインスタグラムのおすすめ画面がちゃんぽんの投稿だらけだったのだが、その中でもひときわ目立っていたので、思わずフォローして、すぐにDMを送ってしまったことを今でも覚えている。
それから、1年ちょっと経った今回、chanpon_eatの中の人である南さんと、ちゃんぽん屋さんで、初の公開ちゃんぽんトークを実現することができた。
自分にできる恩返しを
こんなにちゃんぽんのことを発信されているので、ずっと長崎市で過ごされていたのかと思ったら、実は人生の半分を長崎以外で過ごされたという南さん。「若い頃は長崎=田舎というイメージがあり、都会で暮らしてみたいと思っていました。」ということもあり、高校卒業後は県外に出て、海外でも仕事をしていた期間もあったらしい。2015年に数十年ぶりに長崎市に戻ってきた南さんは、「自分を育ててくれた街への恩返し」を形にするために現在、代表取締役として長崎市内に本社を置く企業を経営されている。
この時点ですでに恩返し以上のことをされているのではないか、と私は思ったが、「それじゃまだ足りなかったんです。」と南さん。「まだこの街のために何かできるはず」そんな想いを抱きながら「自分には何ができるだろうか」と自問自答を繰り返す日々を過ごしたそう。
SNSを開けば影響力のあるインスタグラマーやyoutuber、さらにはTikTokerが暮らしの中の楽しみや、エンタメを界隈に提供し、ユーザーは膨大な量の情報の中から、自分に有益な情報を瞬時に判断し取捨選択を行っている。そのような時代の中で南さんは、長崎グルメや人気の体験、おすすめ観光スポットを発信しても埋もれてしまうと考え「とことん突き抜けよう」と決意。そのときに見つけた「隙間産業」がなんと、長崎のイメージ最上位に君臨する「長崎ちゃんぽん」だった。「長崎ちゃんぽんって名前は知られているけど、SNS上にはあまり投稿が見当たらなかった。長崎ちゃんぽんが一括りになっていて、実は1つ1つのお店やその特徴がそんなに知られていないんじゃないか?」ということで、「ここで突き抜けられれば、必ずこの街への恩返しに繋がる!」と覚悟を決めたとのだと言う。
ちゃんぽんを食べることは、地域とお店の歴史やストーリーを学ぶことに繋がる
「ちゃんぽんの取材を通して、ちゃんぽんそのものの奥深さを伝えるのはもちろんだけど、自分自身が改めて長崎の歴史を勉強しているような感じ」と南さんは語る。南さん曰く、「ちゃんぽんはその地を知る1つのアイテム。エリアだけでなく、そのお店の歴史やストーリーを知ることで、ちゃんぽん1つが全く違って見えてくるんです。」
そんな南さんが、今回選んでくれた取材の舞台は長崎市中心部、出島のそばにある「江戸びし」さん。私自身もよく通うお店であるが、営業中はとても忙しくお話を聞ける時間がないので、今回はゆっくりと大将の話を聞かせてもらえるいい機会をつくってもらった。
ちゃんぽん好きの先代から始まった江戸びしの長崎ちゃんぽん
大将の父である先代が1970年にこの場所に開業した江戸びし。先代が開業した理由を大将に尋ねると、「先代が昔からちゃんぽんが好きで、その好きが高じてお店を出したんですよね~。」と笑いながら答えてくれた。
大将がまだ小さなときに、先代がよく連れて行ってくれたちゃんぽん。先代は豚骨ベースのスープを好んでいたが、臭みのある豚骨が苦手だったため、「臭みのない豚骨スープ」にこだわり続けたそう。50年以上経ってもなお、先代がこだわった豚骨スープは受け継がれている。
そして、こんな話も。
「『江戸びし』というお店の名前も、この地『江戸町』と先代が働いていた「三菱」からとった名前なんです。」
愛され続ける理由は「地元超密着経営」
そんな江戸びしの周辺環境もここ数年でがらりと変わってきた。以前は目と鼻の先に長崎県庁があったため、お昼はもちろん、夜も県庁の職員が多く通ってくれていたのだが、2017年に新庁舎が完成し、庁舎が移転。また、2020年のコロナ禍はお店も締めなければならず、当然出前もできなかったため、とても大変だったという。そして、現在は「長崎駅前周辺の再開発により、昔に比べて駅前に人が流れているようにも思う」と言うが、一方、クルーズ船で訪れてくれるお客さまも増えているそうだ。
様々な変化が起きていくなかで、お店を守っていくことは簡単なことではない。でもそんな時代だからこそ、大将が変わらずに大切にしたいのは「地元の人との繋がり」だそう。「本当に地元の方々に支えられていると感じている。苦しいときでもどんな時でも、変わらずに地元の人が支えてくれているからこそ、美味しいちゃんぽんを提供できている。だから、僕はここでちゃんぽんを作り続けて、多くの人に食べてもらうことが、地元の人への恩返しなんです。」そう大将は語ってくれた。
ちゃんぽんが繋ぐ地元への感謝と恩返し。立場は違えど、いろんな人がいろんな思いを抱いて長崎ちゃんぽんの価値を繋いでいる。南さんの言葉通り、ちゃんぽんを知ることがそのお店に纏わる歴史やストーリーを体感できるのだなと、感じた。
ぜひ、長崎に訪れる機会があれば、「chanpon_eat」で長崎ちゃんぽんのチェックをしてから、現地でその店ならではのストーリーと変わらない美味しさを体感してほしい。お店をでるときは、ごちそうさまと#長崎ちゃんぽん部の投稿を忘れずに!
https://www.instagram.com/chanpon_eat/
「長崎ちゃんぽんぼん」を片手に、長崎ちゃんぽんのふしぎを体験する旅に出かけてみませんか?
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