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旅先で生まれる化学反応のコーディネーター~出島ホッペン 市原ゆかりさん~
2024.05.29

旅先で生まれる化学反応のコーディネーター~出島ホッペン 市原ゆかりさん~

福岡から移住してきて5年目に突入。「旅先での出会いで、景色を変える」をコンセプトに、暮らしや仕事を通して出会った魅力的な長崎人を紹介していきます。
今回は、溢れんばかりの長崎愛と羨ましいほどのコミュ力を兼ね備えているキモノホッペンの市原ゆかりさんをご紹介。「長崎旅の思い出は?」と問われると、「市原さんとおしゃべりしたこと」と言い切ってもいいくらいの素敵な時間を過ごさせてくれる市原さん。なぜ自分は惹かれるのだろうか?ということを、ルーツを辿りながら、皆さんにお伝えできればと思います。ぜひ会いに来て、お話してほしいです。絶対にファンになっちゃいます。

出演者 & ライター

Featuring & Writer

ひとこと

暮らしのそばの、長崎人

Editor

坂井桂馬

DMO NAGASAKI

パブリックリレーター・ビジネスプロデューサー

福岡から移住してきて5年目。「ほんのちょっとだけ人生が変わる出会いを、長崎で。」をコンセプトに、暮らしや仕事を通して出会い、人生が豊かになるキッカケを与えてくれた、魅力的な長崎人を紹介していきます。

長崎市ってどんなところ?と誰かから尋ねられた時、「長崎は暮らしのそばにある、いろんな世界を感じられる場所だよ」と伝えて頂ける方が1人でも増えるといいなと思いつつ。今回は、そんないろんな「世界」がある長崎市の中でも、「和」のド真ん中「着物」を通して、国内外から訪れる様々な方々の「思い出のド真ん中」になっている「出島ホッペン 市原ゆかりさん」をご紹介したいと思います。

「旅先での出会いこそ、旅の醍醐味」

普段着が着物ということも相まって、上品で端麗な雰囲気を纏われており、惹きつけられるような(引っ張られていくような?)エネルギーを持った市原さん。

「もともと、人と人が混ざり合うことで生まれる、想像もできない化学反応のような現象を起こすのが好きだった」ということもあり、学生時代は、出会いから起こるパッションをプロデュースしたいという想いからサークル活動に没頭。マッチングイベントを行ったり、自分でパーティーを主催したりと、現在の印象からは全く想像がつかない、超アクティブかつ超パワフルに動き回っていたそう。

そして、学生時代の経験と生き甲斐を仕事にしたいと思い、イベント会社に就職。「表現が適切かどうかわからないけど…」という前置きがありつつ「当時就職した会社では、ほんとにずっとずっとずっと働いてました(笑)でも、ぜんっぜん辛さはなかった。むしろ本当にめちゃくちゃ楽しかったんです(笑)」と包み隠さず、笑いながら話をしてくれた。

「気持ちが『伝わる瞬間』を大切にしたい」

そんな仕事が趣味の延長線上のような日々を過ごしている中で、とある仕事で海外の方を裏方で支える機会と巡り合わせたことが、今に繋がる大きな転機の契機になったそう。 「もちろん、普段コミュニケーションをとる言語で会話できるのがその方にとって1番いいと思う。だけど、言葉は通じなくとも、相手の希望を叶えてあげるために、表情の変化や身振り手振りを交えながら、『この人のために、何とかしたい』という気持ちを持つことが大事なんだなと思いました。」と市原さん。

自分の気持ちだけを伝えるだけでなく、相手のために何ができるか。相手の表情や気持ちを汲み取りながら、相手が求めていることにマッチするものを提供できるか。コミュニケーションスキルとしては基本的なことかもしれないが、自分も含めて今できているだろうかと考えさせられた。きっと「人と人の出会い」を大切にしている市原さんだからこそ、基本に忠実に積み重ねてこられているからこそ、惹きつけられるオーラが自然と出ているのだろう。

「旅って、自分探し」

仕事をしながら、旅をしながら、「自分とは?」を常に自問していた市原さん。「何も決めずに旅してるってかっこいいな」旅先のバックパッカーに憧れ、目的もなく、何も決めずに世界を旅しに行ったこともあったそう。何を得たかという私の問いかけには「何も目的を持たずに旅するのは、向いてないなという気づきを得られた(笑)」と笑いながら答えてくれたが、「それもありながら…」と市原さんはこう続けてくれた。

「日本で仕事をしているだけでは出会えない、気づけない、感じることができない、様々な世界を体感できたことで、『自分はどうなりたいのか、1度しかない自分の人生をどう生き抜こうとするのか』ということを、旅を通して真剣に考えさせられました。」

「自分が『やるべきこと』との出会い」

旅から帰ってきた市原さんは、結婚を機に愛媛県松山市に移住。慣れない環境で悩んでいたときに、出会ったのが今にも繋がる「着物」だったそう。

「その頃は、歴史や文化を学んだりすることに興味がなかった」という市原さんだが、古民家でアンティーク着物を着て、一瞬で価値観が変わったという。

「着付けてもらって鏡を見た瞬間に言葉にならない高揚感があり、一瞬でハマってしまいました(笑)」と市原さん。そこからは着物について学びを深め、その学びから得られる所作や振舞いはもちろん、着物の奥深さにのめり込んでいったそう。そして、4年の歳月が経て、ふとした瞬間に、「長崎で着物を着てゲストハウスを営むんだ!」と閃いた。

「出島」から始まる新たなホッペンのストーリー

長崎市に暮らしはじめ、夢であったゲストハウスやレンタル着物サロンを開業した市原さん。当時はレンタル着物はもちろん、ゲストハウスすら長崎市にはなじみがなかったということだが、ゲストハウス開業後から多くの外国人客が訪れてくれたそう。そして今では、レンタル着物=ホッペンというイメージも長崎市内には定着してきたのではないだろうか。コロナ禍も収束し、国内外から訪れた方が着物を着て風情のある寺町や中通りをホッペンさんの着物を着て歩いているのを見る機会も増えてきた。

そして、ご縁あって今年5月からは満を持して出島でのレンタル着物体験がスタートしている。

「これまで出島でレンタル着物を提供していた事業者さんの想いも引き継ぎつつ、ホッペンらしく、長崎市を訪れる方に『来てよかった』と感じてもらえるように、いろんなことにチャンレンジしていきたい。だけど、まずはどっしりと地に足をつけ、1人1人のお客さまに真摯に向き合い、地域の方々にも、訪れる方にも信頼されるように頑張っていきたい。」とこれまでの笑顔から一瞬引き締まった面持ちで話をしてくれた。

「長崎市、まだまだこんなものじゃない。」と終始燃える想いを聞かせてくれた市原さん。1人では実現が難しいことも、1人じゃなければできることもある。旅を通して地域の方と出会い、そして、そこから新しい何かが生まれていく。そんな化学反応が起こせる人が、この街にはいる。ぜひ、自らの「着物道」を進む市原さんに会いに来て、お話してみてほしい。

(おまけ)出島ホッペンさんには女性物はもちろん、男性物も数多く、いろんなデザインの着物があります。また、着物だけでなく、帯や可愛い小物も種類がたくさん!ホッペンさんで着付けてもらった後は、出島を出て市内を散策することもできますので、ぜひ、着物を着てまちあるきを楽しんでもらえると嬉しいです。