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ゆうこうって知ってますか? 地元の人によると、長崎市内の限られた場所にだけ存在する幻の柑橘(かんきつ)らしいのです。ルーツには潜伏キリシタンとの関係があるといわれているようですが、真実は謎に包まれています。しかも新種とわかったのはほんの十数年前! 今回はそんな謎めいた柑橘「ゆうこう」を追いかけて、外海(そとめ)エリアを訪ねました。
今回の旅人
Traveler
Guest
ヨシフクホノカ
Z世代に絶大な支持を受ける「エモい」系カルチャーを代表するアーティスト。ノスタルジアを喚起させるレトロポップなタッチの作品が話題となり、大手アパレルブランドとのコラボレーションを次々と実現。
長崎県出身。
ゆうこうって知ってますか? 地元の人によると、長崎市内の限られた場所にだけ存在する幻の柑橘(かんきつ)らしいのです。ルーツには潜伏キリシタンとの関係があるといわれているようですが、真実は謎に包まれています。しかも新種とわかったのはほんの十数年前! 今回はそんな謎めいた柑橘「ゆうこう」を追いかけて、外海(そとめ)エリアを訪ねました。
こんにちは。イラストレーターのヨシフクホノカです。私は長崎生まれですが、長崎市は暮らしている場所から離れていたので、私にとってもお出掛け先であり、観光のまちです。
地元を離れて暮らす今、県外の友だちに長崎市内を紹介するつもりで本気で旅を楽しみました。
外海(そとめ)地区に行くのは初めてです。長崎市から北西に車を走らせること約40分、陸側は緑が深くてすてきな教会が見えてきました。海には小島が浮かんで、その向こうには炭鉱の島「池島」。晴れた日には五島列島まで見えるとか…すごくきれい! さっきまで街中にいたのに、あっという間にこんな絶景に出会えるからやっぱり長崎って最高です。
ゆうこうってどんな果実?
実際に幻の柑橘、ゆうこうが実っている姿が見られると聞いて、山の方へ向かいました。
待っていてくれたのは、ゆうこうに詳しいという浦川英孝さん。農家さんだと思っていたら、この外海地区にある長崎市唯一の酒蔵「霧氷(むひょう)酒造」の社長さんなんだって。びっくり!
さっそくゆうこうの畑へ案内してもらいます。結構な斜面地。転ばないように地面をぎゅっと踏みしめて社長の後をついて行くと…段々畑には小さな青い実をつけた木がずらり。これが幻のゆうこうなんだ!
ホノカ
ホノカ
それに何よりも私がゆうこうの味にほれ込んだんですよ。昔ながらの酒造りをしているので、酒の原料となる芋や米の一部は自分たちの手で育てています。だからゆうこうのお酒を作りたいと思ったとき、自分達で栽培をするのは自然な流れでした
ホノカ
うれしいお誘い!お言葉に甘えて霧氷酒造さんに伺うことにしました。お酒の工場見学は初めてなのでワクワクします。
美しい棚田の風景と、新種発見のロマン
酒蔵に着く前に浦川さんが車を停めたのは、「日本の棚田百選」にも選ばれた大中尾棚田。この棚田を潤すのが日本一の清流・神浦川の水だから、お米もすごくおいしいとか。ここのお米は霧氷酒造のお酒の原料にもなるそうです。
あいにくの天気でしたが、心地いい風が吹いて…気持ちのいい風景です!
地元長崎で「新種発見」があったなんて。その新種が実る光景を見れたなんて!ロマンを感じちゃいます。しかも発見したのは長崎市の職員さんだったって。すごーい!
浦川さんとお話ししながら、この果実の謎が少しずつ明らかになってきました。
2001年、土井首地区の担当になった長崎市の職員さんが、土地の歴史を学ぼうとまち歩きをした際に出会ったのがきっかけ。「地元でゆうこうと呼ばれているけど正式名は?」と、樹の写真を放送局に投稿したら、柑橘の研究者から「ぜひ調べたい」とお返事が。
地元の人たちと研究者による熱心な調査・研究の末、新種だと分かったんだって!すごく身近な果実だったから、地元では相当驚いたそう!
その後、土井首地区に続いてこの外海地区でも自生が確認されました。どちらも旧佐賀藩で、潜伏キリシタンとのゆかりが深い土地だという共通点が浮かび上がり、ゆうこうの謎にますます大きな注目が集まったそうです。
2008年には、伝統的な食文化を守る活動を展開するスローフード協会国際本部(イタリア)から、食の世界遺産「味の箱船」として認定されました。
それでもなぜ「ゆうこう」と呼ぶのか? キリシタンが伝えたものなのか? まだ解明されていない多くの謎も含めて、思わず深掘りしてみたくなる果実です!
外海の酒蔵で、工場見学
霧氷酒造に到着しました。さてここからは工場見学です。目の前には海!ザザーンという波の音をBGMに作られるお酒だなんて、それだけでもうすでにおいしい気がする!
ホノカ
ホノカ
ホノカ
ホノカ
他にも瓶詰めやラベル貼りが体験できるそうで、挑戦させてもらいました。どっちも慎重さが求められる作業!こうやって1本1本、手間ひまかけて作られてるんだな〜。
いよいよ「ゆうこう」の試飲!実は甘酒も長崎の名物?
工場見学を終えたら直売店に移動して、いよいよお楽しみの試飲タイムです!
まずはゆうこう果汁100%ジュースをお味見。めっちゃおいしい!!酸っぱいけれど、後味がとってもさわやか。
次は果汁をブレンドした「ゆうこうのお酒」。まろやかな酸味と甘味が加わって飲みやすい!ふだん焼酎やお酒をメインで飲まない、私みたいな人にも絶対オススメです!
そして「ゆうこう甘酒」。昔ながらの麹で仕込む甘酒は、砂糖不使用・ノンアルコール。
これもすごくおいしい!ゆうこうの酸味が、甘酒特有の重たさを軽やかにしてくれるから、すいすい飲めちゃいます。
甘酒は、実は長崎市民には欠かせない飲み物なんだそうです。伝統のお祭り「長崎くんち」期間には、昔から各家庭で甘酒を作る習慣があって、くんちの季節が近づくと甘酒が恋しくなる地元っ子も多いんだって。知らなかった!
どこに住んでいても、蔵元になれます!
ホノカ
ホノカ
作業は義務ではないので、遠方の方も都合に合わせて楽しんでいただけます。
会員の方には年2回、感謝の気持ちでうちの商品の詰め合わせをプレゼントしていて、それも人気の理由です。一口の申込みでご家族やお仲間もご一緒に参加できますよ。
ホノカ
ゆうこうの旅、お土産も忘れずに
最後はもちろんお土産選び!自分用にはゆうこうのお酒。お風呂上がりに炭酸で割って飲もうっと。実家の父には長崎県産麦を使った麦焼酎を購入。喜んでくれそうです!
外海は映画『沈黙 -サイレンス-』の舞台ともなった場所で、遠藤周作文学館や「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」にも出会えます。
霧氷酒造ではキリスト教の復活祭(イースター)に合わせて蔵祭りを開催されているそう。今度はキリシタンの歴史をテーマに、外海を訪れてみたいと思います!
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